広い北海道内を、旅行で効率的にいろいろ巡ることを考えると、便利なのがレンタカーの利用です。
ただ、冬以外の季節は問題ないのですが、冬の北海道となると、路面は積雪や凍結状態になり、車を運転する際、危険なことがたくさんあります。
冬の北海道旅行で、雪道運転に慣れていない旅行者がレンタカーを利用しても大丈夫かどうか、心配な方も多いのではないのでしょうか。
北海道での経験から言うと、個人的には、雪道運転に慣れていない方がレンタカーを利用することは、正直なところあまりオススメできません。
一方、いろんな観光地を巡るためには、公共交通機関に比べ、レンタカーはかなり便利なのも事実です。
今回は、冬の北海道旅行でレンタカーを利用する際、安全で楽しい旅行になるよう、気を付けるべきポイントを紹介していきたいと思います。
気を付けるべきポイント
冬の北海道旅行でレンタカーを利用する際、気を付けるべきことは多いですが、今回は次の4つに分けて紹介します。
1.運転時の注意点
2.天候や路面状況の注意点
3.車種や装備面の注意点
4.駐車時の注意点
1.運転時の注意点
車間距離を十分にとること
冬の北海道の道路は、積雪や凍結によって、かなり滑りやすくなっており、ブレーキを踏んでから完全に停車するまでの距離は、乾燥した路面に比べて約3~10倍にもなります。
前の車が、信号などでブレーキを踏んだ際に、十分な車間距離をとっていないと、急に停まることができず、追突してしまう危険があります。
「急」が付く運転をしない
雪道を運転する際、「急」が付く3つの運転「急ブレーキ」「急ハンドル」「急加速」は絶対にしないようにしましょう。
特に、滑りやすい路面で、急ブレーキを踏むと、タイヤがロックされてスリップしてしまいます。そのため、多くの車にはABSシステム(アンチロック・ブレーキシステム)という機能が搭載されおり、万が一、タイヤがロックした場合、ブレーキを踏んだままでも自動的にブレーキの解除と作動を繰り返して、減速と同時に、ハンドル操作によるコントロールができるようになっています。しかし、ABSシステムを過信せず、急ブレーキはしないことが安全運転には不可欠です。
また、もし急なブレーキが必要になった際、ガガガッというABSの音に驚いて、ブレーキを緩めてしまわず、そのまま踏むようにしましょう。
轍に注意すること
轍(わだち)というのは、タイヤが通った後にできる雪の溝のことです。水分の多い雪が降った後や、融雪時の道路は、特にこの轍ができやすくなります。走行中、急に轍に入ってしまったり、逆に轍から逸脱してしまった際、急にハンドルをとられてしまうことがあります。
轍がある道で運転する際は、できるだけ轍に沿って運転することが基本となります。軽自動車の場合、乗用車によってできた轍とタイヤの幅が合わないことがありますが、片側だけでも轍にはめて走行すると安心です。
道路脇の雪の壁にも注意が必要
積雪の多い北海道では、排雪が追いつかず、除雪された雪が道路脇に積まれて、高い壁になることがあります。そんなとき、細い道から大きな道路に出る場合や、お店の駐車場から道路に出る場合など、左右がとても確認しずらく、事故が発生しやすくなってしまいます。
道路脇に高い雪の壁があるときは、できるだけ少しずつ進み、左右の確認を怠らないように注意しましょう。また、雪壁の横から歩行者が急に飛び出してくることもあるので、スピードは出さず、歩行者にも注意するようにしましょう。
2.天候や路面状況の注意点
ホワイトアウトに注意
冬の北海道では、吹雪や大雪によって、目の前が真っ白になり、運転時に視界が奪われるホワイトアウトに遭遇することがあります。
ホワイトアウトになると、ほんの数メートル先も見えなくなってしまい、とても危険な状況になります。前を走る車も、スピードを落として走っていたり、最悪の場合、雪にはまったり事故に会い、停まっていることもあるので、見えないところから突然前方に車が現れ、事故に巻き込まれてしまう可能性があります。
運転をする前には天気予報を確認して、ホワイトアウトになりそうな大雪や吹雪の予報の場合、運転はやめておくことが安全です。もし、運転中に急にホワイトアウトに遭遇してしまった場合は、他の車に存在を知らせるためにライトを付け、道の駅やコンビニなど、安全に駐車できそうな場所があれば、天候が回復するまでしばらく待機することが大切です。
危険な路面状態を知っておく
北海道の冬の路面は、しばしばアイスバーンというとても滑りやすい状態になります。圧雪アイスバーンは、積雪がタイヤで踏み固められて硬くなり、滑りやすくなった状態のことを言いますが、さらに、雨の後や、昼間気温が上がって表面が溶け、夜の冷え込みで凍結したときなど、スケートリンクのようにツルツルになることがあります。
路面がアイスバーンになっているときは、できるだけ運転を避けた方が安全ですし、もし運転中にアイスバーンに出会ってしまったら、できるだけスピードを落として走行するようにしましょう。
また、橋の上やトンネルの出入り口付近などは、特にアイスバーンが発生しやすいので、そのような危険個所では事前にスピードを落としておくことも大切です。
3.車種や装備面の注意点
できれば4WDを選ぶ
レンタカーを選ぶ際は、可能であれば4WD(四輪駆動)を選ぶのが安心です。4WDであれば滑らないということではありませんが、滑る坂道を上るときには安心ですし、万が一、深い雪にはまってしまった場合は脱出しやすくなります。
また、レンタカーを選ぶ際に、軽自動車だと不安に思う方もいるかと思いますが、雪道では特に軽自動車だから危険ということはありません。ただし、道によっては、前述の轍が合わないことはあるかもしれません。
レンタカーのオプションも要確認
冬に車を運転する場合、必要になってくるのが「スタッドレスタイヤ」「スノーワイパー」「スノーブラシ」の3点です。雪道や凍結路面では、タイヤは滑りにくいスタッドレスタイヤにしておく必要がありますし、雪の入り込みや凍結を防ぐ構造で、低温でも硬くなりにくいラバーを使ったスノーワイパーの装着と、駐車中に車に積もった雪を払うスノーブラシが必須になります。
北海道のレンタカー会社では、冬の期間、この3つは標準装備であることがほとんですが、レンタカーを予約する際に事前に確認しておくと安心です。
4.駐車時の注意点
駐車中ワイパーは立てておく
雪少ない地域に住んでいる方は、あまり見慣れていないと思いますが、冬の北海道では、駐車中の車のほとんどがワイパーを立てた状態にしています。これは、ワイパーが凍ってフロントガラスなどにくっついてしまわないようにするためです。凍ってしまったワイパーを無理に動かそうとすると、破損の原因になるので、まずは凍り付かないよう、駐車中の車のワイパーは立てておくと安心です。
万が一凍ってしまった場合の対処法などは、こちらの記事を参考にしてください。
サイドブレーキは使わない
気温がとても低くなる北海道の冬は、駐車中にサイドブレーキを引いた状態にしていると、サイドブレーキが凍ってしまい、車が動かなくなってしまうことがあります。そのため、AT車であればPレンジにシフトし、MT車であれば1速ギア(下り坂ならリバースギア)に入れ、サイドブレーキは引かずに駐車しておくと、サイドブレーキの凍結を防ぐことができます。
万が一凍ってしまった場合の対処法などは、こちらの記事を参考にしてください。
最後に
冬の雪道運転では、危険なこともたくさんありますが、北海道旅行にはレンタカーはとても便利な存在です。楽しいはずの旅行を嫌な思い出にしないために、ここに書いたことに気を付けて安全なドライブをしてください。
また、冬の間の運転は、予期せぬアクシデントも起こりやすいので、余裕を持ったスケジュールを立て、北海道旅行を楽しんでくださいね。