北海道の雨事情|日本で最も雨が少ない地域ってホント?雨が多い時期やまちは?

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北海道は世界でも有数の多雪地帯として知られていますが、一方で実は雨に関しては日本でも最も少ない地域だというのをご存じだったでしょうか。今回はそんな北海道の雨事情について「雨の多い・少ないまち」「雨の多い季節」など紹介したいと思います。

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日本で一番雨が少ない北海道

冬の間は毎日のように雪が降っているイメージの北海道ですが、実は雨に関しては日本で最も少ない地域として知られています。下の図は気象庁のデータから過去30年間の年間降水量を平均したものですが、東京の年間の平均降水量は約1,600mmなのに対して、札幌の年間平均降水量は1,146mmとなっており、他の主な都市と比べても特に雨が少ないまちだということがわかります。

気象庁の過去データから作成(以下、気象データは同様)

後述するように、広大な面積のある北海道では、地域による降水量の差も大きいのですが、北海道全体の平均年間降水量は約1,000mmくらいだと言われています。一方で、日本でも雨の多い地域である鹿児島や高知、和歌山、山形などでは年間約2,500mmと北海道の倍以上の雨が降ります。

雨災害には少し弱い

上で紹介したように日本で最も雨が少ない地域である北海道では、下水道などもあまり大量の雨には対応しておらず、近年発生しているような集中豪雨には少し弱いまちづくりとなっています。また、地域によっては十勝岳や駒ケ岳などの火山から噴出した火山土で地質が形成されているところも多く、雨で削られ崩れやすい土地が多いのも北海道の特徴です。さらに、大雪山系をはじめとした高い山が多い北海道では、河川も急流となり雨による土砂災害が発生しやすくなっています。
明治の開拓当初から、北海道では洪水も多く発生しており、札幌市内を流れる石狩川でも昭和56年には停滞前線と台風の影響により氾濫が発生し、2万戸を超える家屋が浸水の被害に遭いました。記憶に新しいところでは、平成28年の台風と前線の影響により空知川が氾濫し、南富良野町の市街地で大きな浸水被害が発生しています。

降水量の地域差

広大な面積を誇る北海道では、地域によって降水量も大きく異なります。冬の間は雪しか降らないので、雨が降る4月から11月までの降水量を見てみましょう。

雨の多いまちランキング

下の表は道内の気象観測地点を雨の多い順に並べたものです。

4月~11月の合計降水量(10か年平均)

北海道で最も雨が多いのは登別市(カルルス)で4月から11月の8カ月間で約2,000mmの雨が降ることがわかりました。8カ月で2,000mmというと東京を超え、日本国内でもトップクラスに雨が多いエリアとなります。

雨が少ないまちランキング

道内の気象観測地点を雨が少ない順に並べたのがこちらです。欠損値などが多い観測地点は対象から除いています。


4月~11月の合計降水量(10か年平均)

北海道で最も雨が少ないのは常呂町で4月から11月の8カ月間で約600mmの雨しか降らないことがわかりました。道内で最も雨の多い登別市のカルルスと比べると3分の1以下の降水量しかなく、日本でも最も雨が少ない地域となっています。

地域差の要因

ここで、雨の多い地点と少ない地点を地図で見てみましょう。

地図にすると雨が多い地点はいずれも太平洋側で、胆振中部や日高東部に集中していることがわかります。これには、雨雲ができるしくみが関係しています。雨雲は水蒸気を含んだ湿った空気が上昇して上空で冷えることにより発達します。太平洋から運ばれてくる湿った空気は、北海道の陸地にある高い山にぶつかることで上昇気流が発生し、雨雲が発達して雨を降らせます。

特に日高東部には日高山脈という1,500mから2,000m級の高い山からなる山並みがあり、これに太平洋からやってくる湿った空気がぶるかることで雨雲ができ雨を降らせます。
一方、胆振中部についてもオロフレ山や樽前山、ホロホロ山や白老岳など1,000m級の山々に囲まれ、一部同様なメカニズムで雨が降りやすいことが考えられますが、他の要因として、苫小牧沖に局地的に海水温が低い冷水塊が存在することも影響していると言われています。太平洋からの湿った暖かい空気が冷たい海水で冷やされて雨雲が発生するという考えです。
次に道内で雨が少ない観測地点の位置を地図で見てみると、そのほとんどがオホーツク海側に集中しています。これにはいくつか要因が考えられますが、梅雨前線や台風の影響が少ないことも大きな影響を与えています。北海道以外の地域では梅雨前線による梅雨の降雨量が年間の雨の量に大きな影響を与えています。

梅雨前線は季節の変わり目に春の冷たい空気と夏の湿った暑い空気がぶつかりあって起こり、日本を北上しながら雨を降らせて、大抵は北海道に到着する前に消滅します。しかし、近年では梅雨前線が津軽海峡を越え、北海道まで持ち越される年も増えてきていて、その場合、道南などの本州に近い地域は7月頃に雨が多くなります。ただ、梅雨前線がオホーツク海側までやってくることはほとんどないため、道内でもオホーツク海側は梅雨の影響を受けにくい地域となっています。

また、台風の発生も同様に本州などの年間降雨量に大きな影響を与えますが、北海道、特にオホーツク海側まで勢力を保ったまま日本を縦断してくることは少ないため、オホーツク海側では台風シーズンでも降水量が少なくなります。
オホーツク海側ではフェーン現象が起こりやすいことも降水量が少ない理由のひとつだと考えられます。フェーン現象とは、海から流れてくる湿った冷たい空気が山にぶつかることで雨雲となって雨を降らせ、山を越えた空気は乾いた暖かい下降気流となって、付近の気温を上げる現象のことをいいます。北海道では、主に南西や南からの風が強くなった時に、大雪山系の風下にあたるオホーツク海側や日高山脈の風下の十勝地方でフェーン現象が起こりやすくなります。

オホーツク海側の場合、フェーン現象が起こると大雪山系の反対側は雨が降る一方で、オホーツク海側のまちには乾燥した空気が入ってくるため雨が少なくなります。

雨が多い時期

日本でも一番雨が少ない地域である北海道ですが、季節によっては少し雨が多くなることもあります。下のグラフは道内の主な都市で雨が降る4月から11月の月合計降水量を東京と比較して示したものです。

東京では年に2回、6月の梅雨の時期と10月の台風シーズンに雨が多くなっています。一方、北海道では東京に比べると全体的に降水量は少ないものの、5~6月頃と8~9月頃にやや雨が多くなっています。
北海道で年間を通して最も雨が多くなっているのが8月から9月にかけての秋ですが、これには秋雨前線が大きな影響を与えています。秋雨前線は梅雨をもたらす梅雨前線とは逆に北海道から日本を南下していきます。前線が離れれば雨は少なくなりますが、停滞すると長雨が続きます。また、この時期は台風も発生しやすい時期で、北海道まで台風が到達しなくても、梅雨前線を刺激することで大雨が降ることがあります。
北海道に梅雨は無いと言われますが、北海道でも道外で梅雨が続いている時期に雨が多くなることがあります。これはオホーツク高気圧の影響であることが多く、蝦夷(えぞ)梅雨とも呼ばれます。特に北上してきた梅雨前線とセットになると大雨につながります。

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