「サンピラー」という自然現象を聞いたことがあるでしょうか。北海道などの寒い地域で真冬にのみ見られる現象で、空中に幻想的な光の柱が現れます。今回はそんなサンピラーについて紹介したいと思います。
サンピラーとは
サンピラーとは北海道などの寒い地域で、一定の条件がそろったときに現れる光の柱で「太陽柱」とも呼ばれています。空中にきらきらとした光の柱が出現する神秘的な光景です。とても珍しい現象であるため、見た人には幸運が訪れるとも言われています。
出現の条件
サンピラーは一定の条件がそろわないと出現しません。サンピラーができる条件は主に次のものがあります。
①気温が約マイナス15℃以下
②晴れている
③風が無い
④ある程度の湿度がある
⑤早朝や夕方の時間帯
メカニズム
サンピラー出現の条件には、サンピラーができるメカニズムが関係しています。サンピラーに似た自然現象でダイヤモンドダストという、同じく寒い日のみ現れる光景があります。
これは、気温が低いと大気中の水蒸気が小さな氷の結晶になり、それに太陽の光が反射してキラキラ輝く現象です。この氷の結晶ができるためには、ある程度湿度が高く、気温がかなり低いことが必要になります。
実はサンピラーもこのダイヤモンドダストと同じく、空気中に浮かぶ氷の結晶によって引き起こされます。空気中の氷の結晶は六角形の板状をしており、これに光が反射することで輝いて見えるのですが、サンピラーの場合は氷の結晶の向きが重要になってきます。サンピラー出現の条件にある「風の無い日」には、氷の結晶の向きがそろいやすく、地面に対して水平になります。この向きのそろった氷の結晶に、朝日や夕日などの低い位置からの太陽の光が反射することで、柱状の太陽の虚像が出現します。
いつどこで見られる?
上で紹介した条件がそろっている場所であればサンピラーはどこでも見ることができます。ただし、この条件がそろいやすい街は限られていて、北海道では名寄市などが有名です。名寄には「サンピラーパーク」や「サンピラー温泉」などサンピラーという名前の付く施設も多くあります。
名寄でサンピラーが見えやすいのには理由がいくつかあります。まず、名寄は盆地地形であるため冬の気温がかなり低くなります。名寄の場合、1月や2月の日最低気温は平均でもマイナス15℃前後になります。そのため2日に1回はサンピラー出現の条件であるマイナス15℃以下の寒さになり、マイナス20℃以下の極寒になることも少なくありません。
また、名寄は名寄川と天塩川という大きな川に挟まれた位置にある街であるため、湿度もある程度高く、サンピラーやダイヤモンドダストが現れる原因となる空気中の氷の結晶が発生しやすい条件がそろったまちになっています。
最後に
以上、今回は真冬限定の自然現象「サンピラー」について紹介しました。空気中に光の柱が出現するサンピラー、一生に一度は見たい神秘的な光景なので、しっかりと防寒対策をしたうえで、ぜひ見に行ってみてくださいね。