冬が近づいてくると街中にフワフワと現れる雪虫は「もうすぐ雪が降るんだな」と冬の訪れを感じさせてくれる存在ですが、今年の北海道ではそんな情緒を感じさせないほどの大量発生がニュースになっています。
雪虫とは
秋の終わりになると現れ、雪虫が現れると1・2週間後には雪が降ると言われる「冬を告げる存在」となっている雪虫ですが、そもそも雪虫とは一体何なのでしょうか。実はその正体はアブラムシの一種で、「トドノネオオワタムシ」が代表的な存在として知られています。北海道では「雪虫(ゆきむし)」と呼ぶのが一般的ですが、本州では「綿虫(わたむし)」などと呼ばれることもあります。雪虫の場合、体に蝋物質をまとって風に乗ってゆらゆら飛ぶため、雪を思わせる存在となっています。
大量発生
札幌をはじめ今年2023年の北海道では、この雪虫の大量発生が大きなニュースとなっています。
通常は山間部に多い雪虫ですが、今年は大通公園や北海道庁など札幌の中心部でも大量発生しています。その量は街の風景が雪虫で白くモヤモヤするほどで、少し街を歩いただけでも髪の毛や服に多くの雪虫がくっつきます。自転車などで移動したなら、目や口の中にも多くの雪虫が入ってきてしまい、とても大変な状態になってしまいます。
大量発生の理由
大量発生の理由は夏の気温が高かったためだと言われています。今年の北海道は44日連続で真夏日が続く記録的な暑さとなりました。雪虫のようなアブラムシは夏の間、単為生殖によって数を増やしますが、今年は夏の気温が高かったため繁殖回数が多くなり、大量発生に至りました。アブラムシは秋になって越冬する前に羽を持つ成虫が生まれ、交尾して越冬するために飛び立ちます。今年は例年飛んでいる白い雪虫「トドノネオオワタムシ」に加えて、黒い雪虫「ケヤキフシアブラムシ」も猛暑の影響で増え、去年の10倍以上の雪虫が飛んでいると言われています。
街中で変なにおい
雪虫が大量発生してから街中で雑巾というか生乾きの洗濯物のような嫌な匂いを感じた方も多いのではないでしょうか。実はこれも雪虫の大量発生が原因なんです。今年は例年飛んでいる白い雪虫「トドノネオオワタムシ」に加えて、白い綿のない黒い雪虫「ケヤキフシアブラムシ」も大量発生しています。このケヤキフシアブラムシが実はこの臭いの原因となっており、少数であればそんなに気にならない臭いですが、広域ではカメムシの仲間に分類されるアブラムシが大量発生することで、嫌な臭いの原因になっています。ケヤキフシアブラムシは名前のとおりケヤキの木に卵を産むため、公園などケヤキがある場所周辺で特にこの臭いを感じることが多くなっています。
対策
外を歩いているだけで体にたくさん付着してくる雪虫の対策はあるのでしょうか。一番良いのは外出を控えることです。特に気温の高い日や風の弱い日は飛んでいる雪虫の数が多くなるため、できるだけ外出しないことがベストです。とはいえ、仕事などで外に出なければいけないことも多いので、そのようなときはできるだけ露出する体の部位を減らすことが大切です。頭には帽子をかぶり、口元はマスク、目元のメガネやサングラスで覆うのがいいでしょう。また、セーターやボアのような服の素材は雪虫が体に付着しやすくなるため、できれば防水素材のレインウェアのような服が雪虫が付きづらくおすすめです。