北海道では鹿との事故が増加|シカ対策や保険適用は?死亡事故も発生!

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北海道で車を運転する際に注意が必要なことのひとつが野生動物との衝突事故です。中でもエゾシカとの交通事故は近年増加傾向にあり、札幌などの都市部で事故が起きることもあります。今回はシカとの衝突事故に関して、対策や起きてしまった場合の対応などを紹介していきたいと思います。

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シカとの事故が増加

北海道警本部交通企画課のとりまとめによると、北海道内ではエゾシカが関係する交通事故が年々増加しています。2023年の事故発生件数は5,287件となっており、過去最多の件数となっていることに加えて、7年連続での最多記録の更新となっています。

北海道警察本部交通企画課資料から作成

増加の原因

なぜ事故が増えているかというと、道内のエゾシカの生息数が増加傾向にあるのが大きな要因になっています。北海道が毎年発表しているエゾシカの推定生息数では、H23年にピークの77万頭に達した後、一時期は推定生息数が減少に転じたものの、近年は再び増加傾向にあり、長期的な傾向としても右肩上がりの増加が見られます。

北海道環境生活部資料から作成(単位:万頭)

エゾシカの個体数増加の原因としては、天敵であったオオカミの絶滅やハンターの減少、地球温暖化に由来する冬の生存率の上昇などが挙げられます。

死亡事故も発生

ニホンジカの体長は北に位置するほど大きくなり、日本最北の北海道に生息するエゾシカはオスの場合、体重150kg、体長2m近くまで成長することもあります。衝突した際の衝撃もとても大きく、車体の破損はもちろん、ときにはドライバーや同乗者の死亡事故も発生します。2022年にはワゴン車が道路に飛び出してきたエゾシカと接触した後に、対向車線を走っていたトラックと正面衝突し、ワゴン車の男性2人が死亡する事故も発生したほか、2023年にはシカと衝突したバイク運転手が死亡する事故やシカを避けようとして路外逸脱した死亡事故も起きるなど、2019~2023年で7人が死亡しています。

発生傾向

事故が多い地域

2023年のエゾシカに関する事故の発生件数を地域(振興局)別に見てみると、最も多いのは胆振エリアで820件となりました。次いで多いのは釧路の791件、石狩の637件となっており、道央や道東地域で多いことがわかります。一方で、函館などがある道南地域では発生件数は少なくなっています。

振興局別発生件数(データ出典:北海道)

なお、2023年の発生件数を市町村ごとに見てみると最も件数が多いのは苫小牧市で387件、次いで釧路市の281件、千歳市の194件となります。都市部である札幌も道内で4番目に多い市町村となっています。

市町村別発生件数TOP5(データ出典:北海道)

発生時期

2023年の件数を月別に見てみたのが下のグラフです。これをみると10月や11月の秋に事故が多く起きていることがわかります。

この時期はエゾシカの繁殖期にあたるため、オスの鹿はメスを探して大きく移動します。また、越冬地への移動の時期でもあるためシカの移動が活発になり、車との衝突事故も起こりやすくなります。

危険な時間帯

2023年に発生した事故について、どの時間帯に起こっているのか発生時刻別に見てみたのが下のグラフです。

グラフを見ると事故の発生が一番多いのは18~20時の時間帯、次いで多いのは16~18時のいずれも夕方の時間帯であることがわかります。エゾシカの活動は夕方と早朝に活発になり、この時間は周囲も暗い時間帯であることから衝突事故が増加します。

事故に遭わないために

年々増加しているエゾシカとの衝突事故ですが、では事故に遭わないためにはどうしたらいいのでしょうか。

1. 道路脇の林に注意

森のなかを走っている道路は脇の林からシカが飛び出してくる可能性も高いので、スピードは出しすぎず、道路脇の林に注意しながら運転することが大切です。シカは同じルートを通って移動することが多いので、山間部の道路にブレーキ痕があれば、他の車がシカと出くわした印である可能性があるので特に注意が必要です。

2. ライトに反射する目に注意

シカをはじめ、北海道の野生動物の多くは車のヘッドライトが当たると目が光ります。道路上や脇にライトに反射する目を見つけたときは十分に速度を落として注意しましょう。舗装道路上に出てきているエゾシカは足が滑って動きが鈍くなっているので、車が近づいても逃げないことがあります。

3. 1頭だけと思わない

シカは群れで行動することが多いため、目の前の道路をシカが渡って行った場合、2頭目や3頭目が飛び出してくるのに注意しましょう。

4. 早朝・夕方は特に注意

シカとの事故の発生傾向でも明らかなように、シカの行動が活発になる早朝や夕方は注意が必要です。また、シカの移動が多くなる秋は特に気を付けましょう。

事故に遭ってしまったら

気を付けてはいても、万が一、シカとの衝突事故を起こしてしまったらどうしたらいいのでしょうか。まず、シカとの事故の場合、故意でなければ罪に問われることはないので、落ち着いて対処することが大切です。

1. 周囲の状況を確認

シカとの衝突事故を起こしてしまった場合、焦らずにまずは周囲や車の状況を確認しましょう。後続車との追突事故を起こさないため、車が動かせる場合は道路わきなど安全なところに車を移動し、移動できない場合は発煙筒や三角表示板で後続車に事故の発生を知らせ、運転手や同乗者は安全なところに避難しましょう。
シカは生きていれば大抵は森の中に逃げていきますが、もし死んでしまっている場合は「道路緊急ダイヤル」の「#9910」へ連絡して処理してもらう必要があります。
また、もしドライバーや同乗者に大きな怪我があれば必要に応じてすぐに救急車を呼びましょう。

2. 警察に連絡

車が全く傷ついておらず、シカもいなくなってしまっている場合は、そのまま移動してしまっても構いませんが、車に破損がある場合は警察に連絡して事故証明を取っておくと、その後スムーズに保険会社などと話を進めることができます。現場を離れてしまい、時間が経ってから警察に連絡すると、シカとの事故により損傷したのか、事故現場などの確認にかなり時間を取られるので注意が必要です。

3. 保険会社に連絡

基本的にはシカとの衝突事故も保険の対象となるので、車の修理やドライバー・同乗者の怪我などに対して保険金を受け取ることができます。ただし、エコノミー補償など補償範囲が狭いかわりに保険料が安い契約の場合、保証の対象外になることがあるので、事前に保険の内容を確認しておきましょう。また、実際に保険料を受け取る場合、事故後3年間は等級がダウンし保険料が高くなります。受け取れる保険金とその後の保険料を比較して考え、保険を適用するか決めることが大切です。

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