夜空にゆらゆらと漂う幻想的な光「オーロラ」、一生に一度は見てみたいと思っている方も多いのではないでしょうか。カナダやアイスランドなどで観測されるイメージのオーロラですが、実は日本でも見られることがあるんです。
日本で見られるオーロラ
カナダなどの高緯度にある国で見られるイメージのあるオーロラですが、過去には日本でもたびたび観察されています。最近だと2023年12月1日にも道内の各地で夜空を赤く染める幻想的なオーロラが観測されました。レンズでの観測は何度かあったものの肉眼で確認できたのは約20年ぶりのことだそうです。
低緯度オーロラ
北海道をはじめとした日本で見られるオーロラは「低緯度オーロラ」と呼ばれています。発生することが極めて稀であるため、まだ研究もあまり進んでいません。
そもそもオーロラというのは太陽の表面で起きる爆発現象「フレア」で発生したプラズマ(電子)が磁力の影響で地球の高緯度地域に降りこみ、上空の空気にぶつかって光る現象です。
北極などの高緯度地域の上空で発生することの多いオーロラは、通常、日本などの低緯度地域では観察できません。
しかし、極稀に大規模なフレアが発生すると、オーロラの出現範囲が低緯度側にも広がるため、北海道などの日本でもオーロラが観測できることがあります。これが「低緯度オーロラ」と呼ばれるものです。一般的にイメージするオーロラは、緑に近い色ですが、低緯度オーロラは赤い光が特徴となっています。これには主に2つの説が考えられており、ひとつはそもそも低緯度オーロラは全体が赤い特殊なオーロラだという考えで、もうひとつは高度による色の違いによる説明です。高度100~500kmで主に発生するオーロラですが、オーロラの光は高度によって色が違うと考えられており、100~250kmが緑色、それ以上は赤色だと考えられています。高緯度で発生したオーロラの低い部分は日本などの低緯度地域からは見ることが出ないため、低緯度オーロラは高度の高い赤色の部分だけを観察しているという考え方です。
いつ見られる?
北海道で見られる低緯度オーロラは極めて稀な現象であるため、なかなか狙って観測するのは難しい光景です。ただし、低緯度オーロラが発生しやすい年というのはあります。これには太陽の周期活動が関係しています。上で説明したように、オーロラとは太陽のフレアが原因で発生する現象ですが、太陽には大きなフレアが発生しやすい太陽活動が活発になる11年の周期があります。最近の活動時期で言うと、1989年、2000年、2012年前後に活発な時期がありました。これらの時期の周辺には北海道でも低緯度オーロラが観測されています。今後、太陽の活動は2025年に向けて活発になっていくため、これからも低緯度オーロラが観測できる可能性はあります。太陽から放出されたプラズマは2~3日後に地球に到達するため、大規模なフレアが発生した数日後は夜空を眺めているとオーロラを観測できる可能性があります。
どこで見られる?
過去には東北などでも観測されているオーロラですが、日本で発生が多いのはやはり北海道です。道内でも特に道北で観測されることが多いオーロラですが、2023年12月に北海道で観察されたオーロラは全道各地で観測されました。道内でオーロラの観測で有名なのは名寄市や陸別町です。2つのまちとも天文台があり、特に陸別町は「オーロラのまち」としても有名で、オーロラの研究も行われています。