広大な自然の中での釣りが楽しめる北海道ですが、貴重な魚を守るため、様々なルールが定められています。特に水産資源として重要な鮭や、環境省のカテゴリで準絶滅危惧種(NT)にも分類されているサクラマスをはじめとしたマス類は河川や湖などの内水面での釣りが全面的に禁止されています。
内水面でのサケ・マス釣り
北海道では河川や湖など内水面でのサケ・マス釣りは全面的に禁止されています。サケに関しては水産資源保護法により全国的に禁止されており、マスは同法と北海道漁業調整規則(令和2年に北海道海面漁業調整規則と北海道内水面漁業調整規則を一本化)によるものです。北海道漁業調整規則のなかでマス類とはサクラマス、カラフトマス、ベニマス、ギンマス、マスノスケを指しています。たとえキャッチアンドリリースをしたとしても、釣りをする行為自体が禁止されているので、罰則の対象になることがあります。
~罰則~
サケの場合:1年以下の懲役または50万円以下の罰金(水産資源保護法)
マスの場合:6月以下の懲役または10万円以下の罰金(北海道漁業調整規則)
ただし、例外として各地域の「さけ・ます増殖事業協会」による増殖のための捕獲や、釣りに関する調査として「有効利用調査」に位置付けられるものは認められています。一般の方がサケやマスを釣りたい場合、有効利用調査の事務局に申し込みをして、採捕事業者として登録されれば、調査を実施している区間に限って河川での釣りが許されます。有効利用調査は有料で、1日の採捕尾数、期間、時間、募集人数などがそれぞれの実施場所で定められています。近年では浜益川と忠類川の2河川で有効利用調査が実施されていますが、2024年は忠類川では資源回復の促進のため中止が決定されています。
■浜益川
【事務局】浜益川サケ有効利用調査実行委員会事務局(一般社団法人石狩観光協会)
【TEL】0153-82-2341
【公式】公式サイト
■忠類川 ※2024年は中止
【事務局】忠類川サケ・マス有効利用調査実行委員会(標津漁業協同組合)
【TEL】0133-79-5700
【公式】公式サイト
海でのサケ・マス釣り
北海道の海でのサケやマスの釣りは北海道漁業調整規則等により体長制限や河口付近の禁止区域、船釣り制限などが定められています。当該規則では、陸や船上に限らずサケやマスに関しては体長20cm未満のものは釣りが禁止されています。
全長20センチメートル未満のサケ・マスを採捕してはならない(北海道漁業調整規則)
陸からの釣り
20cm以上のサイズのサケ・マスは釣りが可能ですが、河口付近は漁業調整規則や海区漁業調整委員会指示により禁止区域が設けられています。詳しい場所は北海道庁の漁業管理課のホームページに掲載されている「フィッシングルール Rule&Manner」で確認することができます。
釣りができるエリアでも釣りの方法は竿釣りや40cm未満のたも網などに限られており、エサやルアーを使わない「ひっかけ釣り」は禁止されています。
採捕の方法は以下のみ(北海道漁業調整規則)
・竿釣り
・手釣り
・たも網(網口及び網の長さの最長部が40cm未満)
・徒手による採捕
オホーツク海側のエリアでは特に秋鮭釣りが盛んに行われていますが、基本的に釣り場は近隣住民や釣り人の自治で管理されています。近年はゴミ問題や近隣住民とのトラブルなど一部の釣り人の迷惑行為が原因で釣り場が閉鎖されることが増えています。釣りができるエリアでも釣りをする場合は、マナーやローカルルールに注意が必要です。
船からの釣り
船の上からサケ・マスを釣る場合、渡島や根室の海域では一部船釣りを制限しているエリアや期間があるので注意が必要です。詳細はそれぞれの地区の漁業委員会事務局に確認しましょう。
また、道内の一部エリアでは「ライセンス制」の船釣りが実施されています。これらのエリアでは船の所有者は、船舶ごとにライセンスを取得し、一般の釣り人はライセンスを取得した船に乗って釣りをする必要があります。また、実施エリアでは釣りができる期間、時間、数などに制限があるので、詳細は関係海区漁業調整委員会事務局に確認しましょう。
■秋さけ船釣りライセンス
【エリア】斜里、網走、ウトロ海域
【時期】9月下旬~下旬
■サクラマス船釣りライセンス
【エリアと規制時期】
胆振:12月~翌年3月
後志:3月~5月
檜山:1月~5月
エリア別ルールマップ
道内の各エリアの釣りルールは、北海道庁の漁業管理課のホームページに掲載されている「フィッシングルール Rule&Manner」のエリア別ルールマップでもできるので、釣りに行く前にチェックしてみましょう。
エリア別ルールマップ:北海道庁水産林務部水産局漁業管理課サイト